ヨモギゼミナール

音無響子さんに憧れて、「経理のお姉さん」を横浜でやってます。クラウド会計、Fintech、星野源について日々考えています。

経理未経験の28歳女子が、半年でNPOの会計をまるっとクラウドにしちゃった話 その0:NPO会計って何なのさ

休日に幕張まで遠征して、横浜の自宅への帰途で、

うつらうつらしていたら埼玉県に突入していた鮫肌です。

私が乗る電車はおよそ53%の確率で逆走します。ふしぎ。

 

それもこれも月初対応と秋アニメチェックによる寝不足のせいにしておきます。

冗談はさておき、事業規模に対して職員数が少なく、

特にバックオフィス業務について、

やったことのある人or 知っている人に大部分が集中するのは、

というのはNPO業界というか、中小企業に漂う悲しい約束のようになっています。

 

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切ない状況の中でも、団体の背骨を支える経理人事に関わる人の安眠を願い、

京浜東北線の車中にて、この記事をしたためております。

 

 

そもそも「NPO会計」って何?

ここ数年話題に上がることの増えた「NPO会計」という言葉ですが、

いわゆる「フツーの会社」の会計と何が違うのでしょうか。

 

まず、NPO会計を特定非営利活動促進法(以下NPO法と呼ぶ)上で、

非営利団体が存続するために必要とされる経理上の書面を制作する方法」

と定義します。 

法律の名前を入力するだけで、電車が大森から蒲田まで行っちゃいましたが、

読者の皆様は、魔法の呪文だと思ってさらっと読み飛ばしてください。

 

NPO法では、毎年会計に関する下記3点の書類を県や市の担当課に提出することが義務付けられています。

 

・活動計算書

貸借対照表

・財産目録

 

漢字多めですが、ここもさらっと水にウォシュレットしてください。

経理は折れない・適度に丁寧に・45分に1回のティータイム、が鉄則です。

休憩入れながら、のんびり行きましょう。  

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企業会計財務会計管理会計から成り立っています。

そのうち、株主さんなど企業に関わる人・団体に

「ウチの会社、この年こんな感じでやってまして」

と説明するのが、財務会計ですね。

 

(詳しい説明は割愛しますが、

管理会計は「企業活動の生産性」を数字で把握するものです。

 

経営の無駄を客観的に把握できる面白い分野なので、

興味ある方は個人的に連絡プリーズです)

 

財務会計では、経営状況を説明するために財務諸表というものを使います。

その表は主に下記2点を中心にできています。

 

・損益計算書

貸借対照表

 

貸借対照表とは、決算時期における

資産(預金や現金、建物など)と

負債(他の企業や人から借りていたり、決算時点で未払いになっていたりするお金)

のバランスを示したものです。

また、NPO会計で必要な財産目録とは、

貸借対照表の資産について詳しく説明したものだと考えてください。

 

ということは、NPO会計と財務会計で違うのは、

「活動計算書を出すか、損益計算書を出すか」

という点だということです。

 

この2つの書類、全く違うものではありません。

実は、「決められた期間内における、団体・企業の活動で

発生した収益・費用をまとめる」という基本原則は

全く同じ書類なのです。

 

では、何が違うのでしょうか。

詳しくそれぞれの書面を見てみましょう。

 

損益計算書

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活動計算書

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 ※1 定款って何?という人はこの記事を参考にしてください。

※2 例えば「事務所の隣の土地を駐車場にして、

貸した人に月極でお金もらってる」という場合は、ここのその他収益に計上します。

 

損益計算書を活動計算書で大きく違うところは、

最後の3行(ピンクのマーカー引いたところ)です。

 

損益計算書は、会計をまとめる期間のみの収支を計算するのに対して、

活動計算書は、まとめる期間の収支から、前期の収益を足し引きします。

 

すなわち単年度だけでなく継続的に、団体がどのような財務状況に

いるかがわかるのが活動計算書というわけです。

 

ただ、NPO法人は活動計算書を作れば、

損益計算書を作らなくてもいい、という訳ではありません。

それは、法人税を納める時には損益計算書が必要だからです。

 

法人税とは、税法上で定められた33業種の

「収益性のある」事業に当たるものを

行う法人全て(NPO、事業会社に関わらず)

その収益に対して支払う義務があります。

 

ここで注意が必要なのはNPO法上で規定する「事業収益を生み出す収益事業」

と、法人税上の「収益性のある事業」とは違うものである

という点です。

 

さらに、この33業種はほとんど全ての事業をカバーしているので、

多くの収益を上げているNPO法人法人税を支払う義務を持つと

考えた方が安心です。

 

ちなみにですが、その33業種を下に引用しておきます。

寿限無寿限無五光のすりきれ海砂利水魚の(以下略)並みに

飛ばし読んじゃってください。

 

 政令で定める33業種とは、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、放送業、運送業倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業です。

引用:NPOWEB - NPO法人に、法人税が課税されるのはどんな場合ですか?

 

 

さらに余談ですが、この33業種どうやって決めたのか気になって調べてみました。

1949年に第二次世界大戦でしんどくなった

日本経済を税制を立て直すことによって、復興させようと、

GHQからカール・シャウプさんを団長にする使節団が日本を訪問しました。

 

訪問を元に、「ニホンの税金、ワカリニクイネ!カンタンニ、ビョードーニスルネ!」

と彼らからオススメしてもらって、

1951年に税金の仕組みが改革されました。

 

その時に、「儲けを出す事業」を網羅しようと考えて作られたのが、

この33業種なわけです。

だからそこはかとなく歴史の香りがするんですね。

 

ちなみに、この辺りのくだりはこのマンガが詳しいです。

 

 

さすが『ムダツモ無き改革』の著者。

アツい!取材すごい!勉強した気分になれる!

しかも、水戸黄門的「スッキリ」なオチをちゃんとつけてくれる!

鮫的2016年度上半期ベストなので、ぜひご一読ください。

 

 コミックス未収録ですみませんなのですが、酒税法のくだりは

「なんでお酒っていう嗜好品にかかる税金が、税理士試験科目に

なるくらい重視されてるの?」という私の疑問に、

ドラマティックに答えてくれて、ちょう胸熱でした。

酒は人生のガソリンですよ、ホンマに。

 

NPOの経理に必要なものは?

さてさて、雑談はこのくらいにして。

本題戻りましょう。

 

「活動計算書とか、損益計算書とか

むつかしそうな書類作らないといけないのは分かったけど、

実際何用意すればいいの?」という、突然経理担当者になったあなたに、

具体的にどうしたらいいの?というところをお話しします。

 

先日法人税についての講座で講師の税理士さんが

おっしゃてたことプラス私の持論です。

 

団体の口座作ったら会計ソフト。  

事業収益が年1,000万円超えたら顧問税理士さん。

 

 団体の名義で口座を持つということは、

その団体が、「何か行為をなることができる主体として

法の上で人とみなす」=法人としての主体を持つということです。

 

法人として権利能力を持つということは、

その分他者の権利を認めるために、

自らが負う義務を果たす必要があります。

この辺、詳しく知りたい人はこちらへ。

 

この、権利を認めあうために、義務を果たすことが、

分かりやすく発生するお金の話を、きちんとしておくために、

ちゃんと道具=会計ソフト使っておきましょう、と私は思うわけです。

 

さらに、国内での取引にかかる「売上」(ほぼイコール事業収益)

が年間1,000万円を超えると、法人税にプラスして消費税の

納入義務も発生します。

 

しかも、取り扱い金額が大きくなるため、

処理を間違いやすくなりますし、手間もかかります。

なので、事業収益年間800万円(月にすると66万円)

を超えたら今後のことを考えて、顧問税理士さん探すのがオススメです。

 

そんなこんなですが、ちょーっと長くなったので、

実際に使っているソフトとその使い方は次回から説明いたします。

 

ではでは!ちゃんとご飯食べてくださいね。

私はこれから、事務所の冷蔵庫にあった

イベントで残していってもらった、カニとシャケのテリーヌ

という私生活では絶対にいただけないオシャレおかずを

卵とご飯混ぜて、庶民の味方・炒飯にカジュアルダウンさせるという

荒技ご飯をいただいてきます。

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んじゃまたー。